囚われのシンデレラーafter storyー
「あの……、私、来月から夏季休暇なんです。学生ですから、夏休みは長いので日本に帰国する予定ですが、西園寺さんの休暇はいつですか?」
私だって、今すぐにでも会いたい。
(……ああ、まだ先なんだ)
「そ、そうですよね。学生とは違いますよね――」
(あずさの都合さえ良ければ、)
がっかりしそうになる私の声に被せるように、西園寺さんが言った。
(日本に帰国する前に、パリに来る?)
「え……?」
(俺の休みは週二日程度だけど、俺のアパートならどれだけいてくれてもいい)
それって、西園寺さんの部屋に滞在出来るってこと――?
「……本当に、いいんですか?」
(もちろん。日中、一人にしてしまうことが多くなるのが申し訳ないが――)
「そんなの、まったく問題ないです。パリ観光したりできるし、西園寺さんが帰って来るのを待っていられるし……」
考えただけで、胸が高鳴る。
(じゃあ、来月、来てくれるのを待ってる。ゆっくり、二人で過ごそう。それに、改めてコンクールのお祝いも)
「はい!」
早く。早く、7月になって――。
そんな願いを込めて、部屋に掛かっているカレンダーを一枚めくった。