囚われのシンデレラーafter storyー
「……あずさを、俺のせいで道に迷わせてしまったな」
まさか彼女とあずさが会っていたなんて。
二人が一緒にいるのを見た時は、血の気が引いた。
「野田君には、偶然会ったのか?」
どう聞くのが一番いいのか。あずさには少しの懸念も与えたくない。
あの夜から、彼女は人が変わったように俺をまったく見ようとはしてこなかった。あれだけ言えば、もうおかしなことはしないだろうと思っているが。
もし万が一、あずさが俺の恋人だと知って彼女が何か傷付けるようなことをしたら――。
「あ……野田さんって言うんですね。カフェに入ったのはいいんですが、そこからアパルトマンの方向が分からなくなっちゃって。道で地図を見ていたら、声をかけてくださって」
「そうか……」
何か嫌なことを言われたようには見えない、か――。
話すあずさの顔をじっくりと見つめる。
「本当に親切にしてくださったのに、私、少し失礼な態度を取ってしまって……」
「え……?」
あずさの目が伏せられて、安心しかけた心が途端に不安になる。