囚われのシンデレラーafter storyー


「……分かりました」

少し小さくなった声でそう言った。

「じゃあ、もう一つお願い」
「何ですか?」

温かなあずさの身体をさらにきつく腕の中に閉じ込めて、その小さな耳に唇を寄せる。

「……今日は、ずっと抱いていたい。寝かさなくていい?」

肩がぴくりと動いた。

「まだ先だと思ってじっと耐えていたところに、突然、美味しそうな御馳走を差し出されて。食い付かずにいられる人間なんているかな」
「御馳走……?」
「御馳走だろ? だって、あずさを前にしたらいつでも食べてしまいたくなる」

それは、いくら食べても飽きない、いつまででも食べていられる特別な御馳走だ。

「――今すぐ抱きたい」
「ん……っ」

まだ承諾を得る前から、この手はもう、優しく触れるのとは別の意味を持って動き始める。

「欲しくて、苦しかったんだ。毎日、毎日――」

もう無理だ。
あずさの顔をこの手で包み、すぐさま唇を奪い、その細い腰をきつく抱き寄せた。

「あずさが欲しい」
「――私も。会えない間、ずっと、佳孝さんに早く抱かれたいって思ってた」

熱を帯びた声が鼓膜を揺らし、欲望を曝け出させる。

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