囚われのシンデレラーafter storyー


 それからの私たちは、もちろんいいことばかりではなかった。

 日本で、お父様が闘病していることを週刊誌に記事にされて。

”かつて栄華を誇った西園寺家の今”

なんて、人の苦しい状態を食い物にするような記事。上の世界にいた人たちが落ちて行く姿は、大衆の関心を引くのだろうか。

私のところに記者がやって来たこともあった。
でも、すぐにそれに気付いた佳孝さんが駆けつけてくれた。

「西園寺のことが聞きたいんですよね? 西園寺家が犯した罪は、彼女は何の関係もない。こんな風に突然不躾に声をかけられるいわれわない。妻にではなく私に直接聞けばいい。私は、逃げも隠れもしない」

佳孝さんの強い意思と信念に、何度支えられて来ただろう。

その広い背中を見つめながら、こんな状況にもかかわらず、幸せだなんて思ってしまった。

だって、こんな状況なのに、何も怖くないからだ。この人といれば、大丈夫だと思える。

記者はそれ以上何も言うことなく、立ち去った。

「あずさ、大丈夫か?」

すぐに佳孝さんが私に振り返る。その目はただただ私を心配するものだった。

「大丈夫ですよ。これくらいどうってことないです。それに、私にはあなたがいてくれる」

目の前にいる人に、私が幸せだということを知ってほしくて笑顔を向ける。

「あずさ……」

まだ不安の消えない佳孝さんの笑み。

「帰りましょう、私たちの家に」
「そうだな」

どちらともなく手を取る。

この手があれば、この人がいれば、どんな困難も試練も怖くない。

私は、不思議とそう思えるのだ。

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