囚われのシンデレラーafter storyー
「卒業アルバムです。小学校と中学校と高校の三冊セットでお願いします」
スマホの向こうで絶句しているのが分かる。
「お願いします。見たい。絶対見たいの」
(どうして急にそんなことを思いついたんだ。そんなの見て、どうするんだ?)
「私の知らない佳孝さんを知りたいから」
そうしたら。少しの無言の後、言葉が返って来た。
(分かった。あずさのお願いを聞かないわけにはいかないからな。今度日本で準備しよう。その代り――)
佳孝さんの『その代り』はかなり危険だ。
少し緊張しながらその言葉の続きを待つ。
(あずさも準備して来ること)
「え……っ」
今度は私が絶句する。
(なんだよ。そう切り返されることくらい予想していなかったのか? あずさも、小学校、中学校、高校、三冊きっちり揃えて来いよ)
「でも――」
それは恥ずかしい。
(でもじゃない)
「だって――」
見せられるようなものじゃない。
(だってじゃない! とにかく、あずさが準備して来なかったら俺も見せないからな)
ということで。
日本で落ち合う時に、卒業アルバムを見せ合うことになった。