囚われのシンデレラーafter storyー


――そして、久しぶりの逢瀬。そしてそして、久しぶりの二人での日本滞在。

佳孝さんのマンションは今はない。
二人きりでゆっくり過ごすために、佳孝さんがホテルの部屋を予約してくれた。

 寝室とリビングルームがある広い部屋だ。窓からは都心のビル群と大きな公園の緑とを両方楽しめる。

ゆったりくつろぐことが出来る部屋で、さっそくソファに並んで座る。

「ちゃんと、持って来てくれましたか?」
「もちろん持って来たさ。あずさは?」

本当は凄く嫌だったけれど、持って来た。

「……持って来ました」

仕方なくそう答える。

「よし。なら、見せてくれ」

向き合う佳孝さんが手を差し出して来る。

「いえ。そもそも卒業アルバムの件は、私から言い出したことなので。最初に佳孝さんのものから見せてもらいます」

そこはきっぱり跳ね除ける。

「……分かったよ。ほら、約束通り三冊だ」

佳孝さんが背後からしっかりとした作りのアルバムを差し出して来た。

「ありがとうございます……っ!」

どうしたってワクワクして。
子供の頃から私が出会うまでの佳孝さんを見られるんだから。

「そんなに楽しいか?」
「はい!」

やれやれと言わんばかりにアルバムを目の前にあるローテーブルに置いた。

「さて、どれから見るんだ?」
「もちろん、小学校からで」

三冊の中で一番年季の入っていそうな茶色い革張りのアルバムを佳孝さんが手にした。

そして、私を自分の脚の間に座らせ、後ろから抱きしめるような形になって一緒にそれを開いた。背中に佳孝さんを感じながら、話をする。

「凄い、高級感のあるアルバムですね……。初等科――佳孝さんは何組ですか?」

私の持っているアルバムとは少し違う。
さすが、有名私立。

後ろから回されている佳孝さんの手が、クラスごとの写真のあるページを開いた。

「さて、どこにいるでしょうか」
「全クラスから探すの?」
「もちろん、俺の恋人なんだから、すぐに見つけられるよな?」

顔を横に向けると、佳孝さんの意地悪な笑みがすぐそこにあった。

「も、もちろんですよ。どうせ、一番カッコいいに決まっているんですから」

すぐに視線をアルバムに戻す。

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