囚われのシンデレラーafter storyー
「……佳孝さん?」
「この男……同じクラスだったんだな」
”加藤柊”
あずさと同じクラスの男子が並ぶ場所に、大きな顔で写っている。
白い歯を見せて、意味不明に手を上げている。
その笑顔が、無性に腹が立つ。
小学生の頃、見るからにクラスの中心人物になっていそうなタイプ――。
モテる男の条件だ。
「え? あ、しゅ、柊ちゃんですね。そう、ですね」
柊ちゃん……。
「6年間、ずっと同じクラス?」
「いえ。なったりならなかったり。たまたま6年の時は同じクラスでした」
俺の知らない時間をあずさと共有している。
隣の家で、毎日顔を合わせ、笑い合い、一緒に成長して――。
そして、この男はずっとあずさを好きだった。
この時は。
この写真に写っている時はどうだったんだろうか――。
「さ、さあ、次に行きましょう。次は中学ですね」
俺の眉間が険しくなっていっているであろうことに気付いたのか、あずさが乾いた笑い声を上げながらさっとアルバムを交換してしまった。
「え……っと、私、何組だったかなー」
無言の俺の前で、あずさがページをめくり続ける。
「3年1組! あー懐かしいな。でも、私は相変わらず笑ってない。日常は笑いまくってたのに、どうして卒業アルバムでは笑えないんだろう」
「あずさは……」
今度は制服を着ていた。
丸襟に紺色のブレザーを着て、真っ直ぐにこちらを見ていた。
結局中学生になっても、あずさは笑顔ではなかったけれど、それは明らかに小学生の時とは違っていた。
「15歳……だよな?」
「そうですよ」