囚われのシンデレラーafter storyー
あどけなさはあるけれど、そこにいるのは間違いなく今のあずさに繋がるあずさ。
面影も、意思の強そうな目も、何もかもが既に15歳のあずさにはある。
「……どうしたの? やっぱり、変?」
ただ黙ったまま写真を食い入るように見る俺の顔を、あずさが覗き込んで来る。
1クラス、見開き2ページ。
またも俺の視界に存在を主張するように入り込んで来る、あの男。
あの男もまた、着実に成長してそこにいる。
15歳のあずさの隣にいて、友達みたいな顔をして。その顔の裏で、どんな感情を呑み込んでいたのか。
15歳の加藤柊は、もう、へらへらした顔なんてしていなかった。
「……あの、佳孝さん――」
「今度は、高校のアルバム見せて?」
静かにそう言うと、「分かりました」と不思議そうな顔をしながら俺にアルバムを手渡した。
「3年C組です」
あずさは、自分のいるクラスのページを開いて見せた。
「――もう、俺が出会った時のあずさとそんなに変わらないな」
18歳のあずさを目にすれば、あずさに出会った日の、初めて感じた胸の疼きが鮮明に蘇る。
あのホテルのロビー。そして、初めて見て聴いた、あずさのヴァイオリン。
「そうか……そうですね。佳孝さんと初めて会ったのって、この写真から1年半後くらいだもんね」
寄り添うように隣にいるあずさも、その視線を写真に寄せる。
この写真の一年半後に、俺と出会うあずさ。
どこか一点を真っ直ぐに見つめる、意思の強い眼差し。
俺があの日恋したあずさがいる。
この写真のあずさの眼差しは、ただひたすらに夢を見つめていたんだろう。
わき目もふらず一心不乱に。
18歳のあずさも、やっぱりとても綺麗で美しかった。
そして――。