囚われのシンデレラーafter storyー
「……また、同じクラス?」
「え……っ?」
どうしてこの男は常に同じページにいるんだ――?
あの男のあずさへの強い想いと執念がそうさせているのかと思うと、どうしようもなく苛立つ。
俺があずさに出会えずにいた時間、その全部。この男がいる――!
そんな、どうにもならないことが、今更ながらに我慢ならなくなる。
「高3の時も同じクラスなんだな。一緒に卒業したのか」
「え……えぇ、まあそうですけど。でも、家が隣の幼馴染ですから、特に、何がどうってことでも……」
あずさがしどろもどろに言う。
「一緒に通学したり、弁当食べたり、勉強したり……そういうこと、この男と、した……?」
「え……っと――」
今度は俺があずさの顔を覗き込む。
分かっている。
いい年をした男が、かなり大人げないことを聞いているということ。
聞いたって仕方ないし、聞いたって、どうってことないはずのこと。
それは過去でしかないのに。
俺の知らないあずさを知っているあの男に腹が立って、悔しくて仕方ない。
「そりゃあ、少しはしましたけど、でも、どうして、そんなことわざわざ聞くの?」
「自分でもよく分からないけど、無性に腹が立つから」
こちらに視線を向けたあずさを見つめた。
あずさと笑い合って、話をして、毎日そばにいた。
それも、ただ傍にいただけではない。その心には恋愛感情を抱えて。
すきあらばと、見つめていたはずだ。
俺の中に、意味のない想像が広がる。
こんなにも近しい存在だったのなら。
もしかしたら、あずさが気付かないような状況の時に、あずさに触れたかもしれない。
たとえば、あずさが居眠りをしている時とか――。
ふっと、あの隠し撮りされた写真が浮かんで。
また勝手に怒りが増幅していく。
あぁっ。
一体、俺は何を考えて。
「……腹が立つなんて言うけど、そんなの、お互い様ですよ」
少し低くなった声であずさが言った。
「え? お互い様って、何がお互いなんだよ」
あずさの言ったことの意味が分からない。