春の欠片が雪に降る
「えーっと、営業はあの人……山内さんと吉川さん入れて四人になりますね。こっちはクレーム、関東よりガンガン多いっす。そんなんやからサポートの人らのが人数いるんですよ。後で支店長と挨拶行くと思うんですけど」
耳打ちしてきたのは木下で、フロアの端を目配せした。彼はなかなかのムードメーカーなのか、先ほどから一番発言しているのではないだろうか。
一番、若いというのに。
しかし、多いという割には一人しか見当たらない。
そんなほのりの視線に気がついたのか、木下はすぐに言葉を付け加えた。
「あ、今日は……ってか、今日もっすね。ほとんど直行でいないっす」
「ああ……」
「ちなみにさっき山内さんがボヤいてた佐藤さんって、システムのリーダーの人で。いつでもどこでも飛んでいきます〜のサポートありきで取って来んなって、怒られてばっかなんすよね」
「あはは、なるほど……」
ほのりは、大きく変化するであろう自身の毎日を少しばかり想像して。
張り付けた笑顔を強固なものにしたのだった。