竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
11 竜王の卵との話し合い
ハタハタとカーテンが風になびいている光景を背に、竜王様は穏やかな顔で私を見ていた。その姿は神々しいほど美しく、私は声も出せず立ちつくしている。
「リュディカは俺の名前だ。竜王が生まれると、森に新しく木が生えてくる。その葉で作ったのがそのお茶だ。代々、竜王の名前をつけるんだ」
「竜王様の名前……」
竜王様が一歩、また一歩と近づいてくる。昨日この世界に飛ばされた時も、同じようにこちらに向かって歩いてきて、その足音は私を追い詰めるものだった。それなのに。
今の私には、あの時とは違う胸の鼓動が襲っていた。
「リコ」
私を見つめる竜王様の瞳は、甘いお茶の色と同じだ。艷やかに光る黄金色。もしかしたら今日の私の話は、彼の同情を引いたのかもしれない。この世界で見た誰よりも優しい瞳で、私を見ている。