竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
返事をしない私に抗議するように、ぽこっとお腹が盛り上がる。とっさにお腹を隠したので、リディアさんには気付かれないですんだけど、これは本当にヤバいのでは? リディアさんに支えられ、ベッドに横になってからも、お腹からのクレームは続いて止むことがない。
『むう……、早くパパに会いに行けばいいのに』
『結婚はいつするの?』
『早くお空を飛びた〜い!』
『ねえ、ママ聞いてる?』
うう、頭が痛い。これは本当に幻聴じゃないのだろうか? それにこのお腹にいる子供が本当に「竜王の卵」だとしたら、私はもしかして――!
重要なことを考えたくないあまり、頭を抱えてしまう。するとリディアさんが急いで冷たいタオルを私の額に当ててくれた。私の顔をのぞき込み、心配そうに立ち上がる。