竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(思えないどころか、反感を買うだけだから、なっちゃダメでしょ!)
いや、その前に絶対殺されるはず。よくて拉致監禁だろう。私がパーティーを邪魔しただけで、あのギークという騎士は私のことを「卑しい平民」と罵っていたもの。徹底した身分社会のこの国で、貴族の女性たちが平民の私に頭を下げないといけないなんて、かなりの屈辱なはず。
そこまで考えると、一つの可能性が頭に浮かんだ。
(もしかしてこの子、人違いしてない?)
きっとそうだ! 私をお妃様にしたところで、誰も得しない。まだこの子は世間を知らないから、間違えたんだわ! すぐに教えて、別のちゃんとした竜人女性のお腹に入るよう教えてあげなきゃ! そう思った時だった。
『ねえ、ママ……もしかして、ママって僕のこと、嫌い?』
「えっ!」