竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
『ママ〜ぼくのママ〜早く産んで〜』
「…………」
やっぱり正直に私の気持ちと状況を話して、一度神様のもとに帰ってもらうのが、この子にとって一番良いんじゃないかな? そう思って口を開きかけた時だった。
廊下のほうから、ドタドタと急いでこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。それも一人じゃない。きっとリディアさんがお医者さんを連れて来てくれたのだろう。
「ヤバい! お医者さんが来ちゃう!」
『おいしゃさん?』
とにかくこの子との話し合いはまた今度だ。私はお腹をポンポンと優しく叩くと、竜王の卵に呼びかけた。
「今から人が来るけど、絶対に声を出したり、お腹をポコポコしちゃダメよ! わかった?」
『……は〜い』