竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 ちょっと不服そうな声だったけど、言うことを聞いてくれるみたいで一安心だ。お医者さんの前でお腹が波打ったら、絶対に問い詰められて、竜王の卵だとバレてしまう。この子には悪いけど、まだ心の準備もこれからの対策も無いのだから、隠しておかなくては!


(とりあえず、元気なところを見せて、お医者さんにはすぐ帰ってもらおう!)


 もう目の前まで足音が迫ってきた。私は急いで背中にクッションを置くと、起き上がった体勢でドアが開くのを待った。


「リコ! 大丈夫か!」


 バンと勢いよくドアが開く。一番最初に部屋に入ってきたのは、なんと竜王様だった。そしてその声が聞こえたと同時に、お腹がポコンと大きく跳ね上がる。


『あっ! パパだ〜!』


(や、約束がちがーう!)


 私はあわててお腹を押さえ、勢いよく毛布をかぶった。
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