竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
12 ドタバタの健康診断
「リコ! そんなに痛いのか?」
竜王様のあせった声が部屋に響く。すぐにでも顔を出して返事をしたいけど、その前にこの子に言い聞かせなくては! 私はお腹をポンと軽く叩いて、小声で注意した。
「さっき言ったばかりでしょう? 絶対に動いちゃダメだし、話しかけても返事できないからね。わかった?」
『……へへ。ごめんなさ〜い』
叱ったつもりだけど、全然響いてない気がする。これは将来、いたずらっ子になる可能性大だわ。
「リコ、眠っているのか?」
良かった。やっぱり竜王の卵の声は私以外には聞こえないみたい。竜王様にさっきの声を不信に思っている様子はない。それでも返事もせず毛布に潜りっぱなしでは、変に思われるだろう。
それに元気にしていないと、お医者様から念入りに調べられちゃう! 私は勢いよく顔を出すと、わざと明るい声で返事をした。