竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「あ、え、えっと、妊娠は……」


 私がなんと言っていいかわからず、パクパクと口を動かしていると、リディアさんがコホンと咳払いをした。


「リコ、これは健康診断でよく聞かれることですから。お医者様、リコはここに来て日が浅く、緊張しています。それに男性のいる場所ではちょっと……」


 そう言うと、リディアさんはチラリと竜王様を見た。


(そういう意味か! バレてしまったのかと思ったけど、日本でも問診票に妊娠の有無を答える項目があるもんね)


 バクバクと鳴る心臓を抑えるように大きく息を吐くと、頭をかきながら気まずそうにしているお医者様の顔が目に入ってきた。反対に指摘された男性である竜王様は「別に隠すことはないだろう」と言っている。デリカシーという言葉を知らないのだろうか。
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