竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
13 お妃様候補との面会
「それはやっぱり私に敵意をもって、話をしに来るのでしょうか?」
寝ていたってどうしようもない。私は力が抜けた体をなんとか起こし、リディアさんに問いかけた。
「一応、面会理由は、リコが倒れたことを偶然知って、お見舞いをしたいということでしたが。本心は会ってみないとわかりませんね」
「そうですよね……。その、私に会いたいという人は、どういう方かわかりますか?」
体調不良を理由に断ることもできるだろうけど、貴族の申し出を拒絶したと、よけいに怒らせてしまいそう。それなら会う前に、少しでも相手の人となりを知っておきたい。それを聞いたリディアさんは、朝食の準備をしながら説明してくれた。
「アビゲイル様という方です。彼女の父親は前竜王様の補佐をしていた方で、この国でもかなり高位の貴族です。彼女も社交界の花と言われるほど美しいご令嬢で、貴族女性たちのまとめ役のような人ですね」
「そんなすごい方が私に面会を?」
「おそらく妾になったという噂の真偽を確かめに、リコに会いたいのだと思います」