竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「アビゲイル嬢、わざわざ呼び止めてすまなかったな。リコもそろそろ休んではどうだ? くだらない噂に振り回されて、おまえも疲れただろう」
急に私のほうを振り返ると、竜王様はベッドに戻るよう勧めてきた。それを聞いてアビゲイル様もあわてて、私のほうを見る。
「そうですわ。長々とお邪魔して申し訳ございません。本日はありがとうございました。明日会えることを楽しみにしていますね」
どうやら緊張したお茶会も、竜王様の乱入も終わったみたい。竜王様は先に立ち上がると、アビゲイル様に手を差し出した。
「アビゲイル嬢、部屋まで送ろう」
「ありがとうございます」
そう言って二人は、流れるような動作で手を重ねる。