竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(あ……)


 その姿はまるで一枚の絵画だった。あまりにも二人の立ち姿がお似合いすぎて、自分が竜王様にされたエスコートと比べることすら恥ずかしい。


 二人は共にスラリと身長が高く、髪の色も色違いのブロンド。にこやかに寄り添う姿を見て、誰がこの二人の間に入っていこうと思うのだろうか。


 アビゲイル様が一番お妃様に近いというのは、こういう意味だったんだ。高貴な身の上。長年国に貢献してきた家柄。それだけじゃない。二人が揃うことで生まれる完璧な美しさを見れば、思い知らされるのだろう。


 竜王様のお妃様は、自分じゃないと――


 二人が部屋から去り、パタンと扉が閉まった。それはまるで、私と竜王様の生きる世界が違うことを表しているように思え、何も言葉が出てこない。私はただ二人が出て行った扉をしばらく見つめていた。

< 146 / 394 >

この作品をシェア

pagetop