竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
あれからまた自分の部屋に戻って、ベッドに入った。二人の姿が目に焼き付いて離れない私は、毛布を頭までかぶって、これからの事を考えていた。
(お腹にいる子には、ちゃんと説明して、お別れしよう……)
竜王の卵は、静かにしている。時折小さな鼻歌のような声が聞こえるので、起きているみたいだ。私はポンポンと軽くお腹を叩くと、卵くんに話しかけた。
「卵くん、やっぱり私に竜王様のお妃は無理だよ。さっき話していたアビゲイル様のお腹に入ったほうが良いと思うよ」
竜王様に対してドキドキする気持ちがあったのは認める。でもお妃様になるのは違う。なってはいけないんだよ。