竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「この競技会も、実はお見合いみたいなものなんですよ」
「お見合い? これがですか?」
「はい、強い竜を使役できるのは、強い竜気の持ち主ですから。そういう男性を夫に欲しい方が見に来ているんです」


 リディアさんの説明を聞き、キョロキョロとあたりを見回してみると、たしかに若い女性が多かった。何か紙を見ながら「団体戦のこの彼なんて赤竜を使役してるから、うちの家系にあっているわよ!」なんて話している。


(強い竜を従わせることができる人が、尊敬される世界なのね……)


 その頂点にいるのが竜王様ってことか。先ほど開始の言葉を叫んだ彼は、特別に作られた豪華な席に座って、お茶を飲んでいる。そして物憂げな表情で目を伏せたかと思うと、何かに気づいたように顔を上げた。
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