竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「リディアさん、これって騎士さんは関係あるんですか?」
「ありますよ。騎士が竜をうまく乗りこなさないと、そもそも競技には参加しませんから」
『ぼくも、みたい……』
強くないものには従わないってことか。たしかに予選を見ていると、途中でどこかに飛んでいったり、動かない竜もいる。周囲からはそんな状況を嘆く声が飛び交い始めた。
「まあ……今年の騎士は竜になめられている方が多くなくて?」
「なげかわしいですわ」
それでも上手に乗りこなしている二組が残り、決勝の舞台となった。二匹の竜が睨み合いながら、怒鳴り合っている様はかなり迫力がある。
『去年は負けたけど、今年は勝つ!』
『なに言ってんだ! 俺が負けるわけないだろ!』
(ふふふ。竜たちも口喧嘩してる。竜王様の時も思ったけど、異世界ってすごいわ。竜がしゃべるなんて)