竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
面白い会話だとクスクス笑っていたが、ふと周りを見ると誰も笑ってない。竜が喋るなんて当たり前すぎて、気にもとめていないのだろう。いけない! みんな真剣に見てるから、勝負を茶化しているように思われたら大変だわ。
私はあわてて真面目な顔をして試合を見始めた。すると私の背後から、わざとらしいほど大きなため息とともに、ライラさんが話す声が聞こえてきた。
「お兄様が出場できれば、決勝に出ていたはずですのに……」
そう言うと、またまわりに聞こえるほどの大きなため息を吐いている。気になってほんの少し後ろを振り向くと、やっぱり私を睨みつけていた。