竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

16 命の危機

 
(本当にこの人、なんなんだろう?)


 彼女とは初対面なのに、なぜこんなに睨んでいるのかわからない。どこかで会っただろうか? それでもいくら考えても何も思い出せないでいると、気づけば力比べの決着がついていた。


 勝ったのは昨年負けたほうの竜。リベンジが成功したらしく、空中でクルクル回って嬉しそうに叫んでいる。


『へっへ〜ん! やっぱり俺のほうが強いぜ!』


(あらあら、あんなに煽っちゃって……。負けた竜はすごく悔しそうに睨んでるじゃない)


 でもその光景すらもかわいらしくて、見ているだけですごく楽しい。誘ってもらえて本当に良かった! これもアビゲイル様のおかげだ。私は改めてこんな楽しいイベントに誘ってくれたお礼を言おうと、隣りに座る彼女に視線を向けた。
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