竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


『……ママ、なんかおかしいよ。竜たち苦しそう』
「え?」


 どういうことだろう? 竜たちが何かに苦しんでいる? 竜王の卵にもっと詳しく聞こうと、私は背中を丸める。すると肩にリディアさんの手がふれ、あせった声が聞こえてきた。


「リコ、ここは危険ですから、いったん後ろに下がりましょう」
「えっ? はい! わかりました」


 たしかに一番前のこの席は危なそうだ。他の観客たちも席を離れ、避難し始めている。卵くんも様子がおかしいと言っているから、言う通りにしよう。私はリディアさんに促されるまま立ち上がった。すると。


「きゃああ!」
「リコ!」
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