竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
何かに勢いよくドンと押し出されるように、私は観客席から吹き飛ばされた。信じられないことに、私の体はまるごと空中に浮いている。くるくると自分の体が転がっているのに、止めることができない。
「た、たすけ……!」
一瞬私の足に誰かがふれた。きっとリディアさんだろう。ぐるりと体が回転した拍子に、彼女がこちらに真っすぐ手を伸ばし青ざめているのが見えた。
そしてその奥に見えたのは、私をずっと睨みつけていた、ライラという女性の笑顔。
彼女は私に向かって手を差し出している。決して助けるためじゃない。その手には何か白くキラリと光る物が握られていて、そこから私を押し出す何かが出ているからだ。