竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

「以前に現れた迷い人様が治療した流行病は、主に王都で蔓延しましたから。地方の貴族には身近に感じられず、迷い人様への尊敬の念がないのでしょう」
「ふむ。リコに迷い人としての能力が現れないこともあるのだろうな」
「そうですね」


 田舎から出てきて一旗揚げようと躍起になっている時に、リコという邪魔者が現れたってとこか。たしかリコの髪の毛をつかんだのも、あの騎士だった気がする。あの光景を思い出すと、なぜかあの時より腹が立ってきてしょうがない。


(そういえば、初めて会った時も、リコが乱暴に扱われているのが不快で止めたのだった。侵入者、しかも王宮に現れた者なのだから、当然な扱いだったはずなのだが……)


 どうもリコに危害を加える者がいると、苛立って仕方がない。誰よりも守って、傷があったら癒やしたいと考えてしまう。こんなことは初めてだ。
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