竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
『うおおおおおお!』
最初は自分から出た叫び声だとは思わなかった。ただただ心の奥底から怒りが湧き出て、それが勝手に口から吐き出されている。飛んだ記憶すらないのに、俺はリコが浮かんでいた場所で叫び、周囲に竜気を撒き散らしていた。
俺を中心に竜巻が起こり、止まらない雄たけびで地面が揺れ、地割れが入り始める。それでも頭の血管が千切れそうなほどの怒りは、止まることはなかった。
『どこだ! どこにリコを連れて行った!』
しかし俺の目に映るのは、バタバタと倒れる観客の姿だけで、リコもリコを食べた竜の姿もいない。
『絶対に許さんぞ!』
俺は国中に響き渡るのではないかと思うくらい大声で叫び続けた。