竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
もうリコの顔も見られない、声も聞けない、さっきまでの俺は真っ暗闇の中にいる気持ちでそう叫んでいたのに。それがどうだ。
今の俺はリコの姿を見ただけで歓喜に震え、すべての景色が光り輝いて見える。
「リコ……!」
「竜王さ……うっぷ」
つかんでいた手を引っ張り、リコを自分の胸元に引き寄せる。ぎゅっと強く抱きしめると、苦しそうに顔をふるので、ほんの少しだけ力をゆるめた。
「リコ、良かった……」
そっとリコの腕が俺の背中にまわった。それでもまだ戸惑っているようで、内心オロオロしているのだろう。俺の胸に顔を埋めているので表情はわからないが、耳と首筋が赤くなっているのが見えた。
俺はそのかわいらしい姿に満足すると、リコの存在を確かめるように、もう一度強く抱きしめた。