竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
『だってさあ、この子の血、すっごく甘くて、幸せな気持ちになるんだよ』
『なんだよ、それ。でもこの子、たくさん切り傷ができてるな。治してやらなきゃ』
『なんだ、ヒューゴだってやっぱり舐めてみたいんじゃないか』
『うるさい! ……本当だ。すごく甘いし、ふわふわした気持ちになるな』
ふふふ。くすぐったい。犬に舐められた時に似ているけど、なんの動物かしら? 動物が話すのはおかしいけど、このくぐもった声は、竜たちが話してるのに似てる気がする。もしかしてこの子たち、竜なのかしら。
そのあともペロペロとほっぺたを舐められるので、くすぐったくて体を横に動かした。するとその動物たちは、急にブルブルと震え、何かに怯え始める。
『うわっ! 竜王様がこっちに来てる!』
『そりゃ、そうだろ。おまえさっき竜舎を壊したんだから』
『こ、怖いよ! 竜王様、すっごく怒ってる!』
『……森に逃げるか? 付き合うぞ』
『でもこの子も連れていきたいし……』
『しっ! 竜王様が来たぞ! その子を隠せ!』