竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 本物の竜王様の声に驚いて、あわてて返事をしたけど、まわりは竜の背中しか見えないので、どこにいるかわからない。


「リコ! とにかく俺のところに来い!」
「は、はい!」


 状況がなにひとつわからないまま、竜王様の命令に大きな声で返事をして、立ち上がった。とにかく声のするほうに行こう! 小さな声で「ちょっとごめんね」と謝りながら竜たちの隙間から手を出すと、すぐさま竜王様の手につかまれた。


 そのまま引っ張られるように外に出ようとすると、一頭の竜が鼻先で私の背中を押している。どうやら手伝ってくれているらしい。後ろを振り返ると、ムフ〜と鼻息を鳴らし、得意げな顔をしていた。

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