竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「よいしょっと……。わあ、ありがとう。立たせてくれたの?」
『そうだよ。優しいでしょ? だから君、僕のお嫁さんにならない?」
「え? そ、それは無理だよ」
『え〜なんで〜?』
私が即座に断ると、プロポーズしてきた竜は不満げな顔をしている。隣りにいる竜が『本当に言った……』と呆れているのにもおかまいなしで、抗議のようにキュウキュウ鳴いていた。
(変わった竜もいるもんだな……)
そんなことを思いながら服の埃を払っていると、自分がドレスを着ているのに気づいた。そしてそこで一気に、私が今日、自分の身に何が起こったのかを思い出した。