竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
それは絞り出すような声だった。苦しそうに、それだけ言うのが精一杯という竜王様の声に、目の奥がツンと痛くなってくる。
竜王様に抱きしめられていると、心配してくれていた気持ちがこれでもかと伝わってきて、私はその想いを受け止めるように、そっと彼の背中に手をまわした。
(なんだか安心する。こうやってるのが、当たり前みたいな不思議な気持ち……)
ずっとこのままでいたい。そう思っていると、竜王様がそっと体を離し、真剣な表情で口を開いた。
「リコ、何があったか思い出せるか?」
「……はい、さっき全部、思い出しました」
「そうか……」
そう言うと、また竜王様はぎゅっと私を抱きしめ、耳元で苦しそうにささやいた。