竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「助けられなくて、本当にすまなかった……」
「そんなこと、竜王様が謝ることじゃありません! だってこれは――」

「竜王様!」


 突然シリルさんの声が、竜王様の背後から聞こえてきた。ドタバタと何人かがこっちに向かって走ってくる音も聞こえ、私は竜王様の体越しにひょこっと顔を出した。すると一番前にはシリルさん、その後ろにリディアさん、そのまた後ろに騎士団の方が駆け寄ってきていた。


「リコ!」
「リディアさん!」


 竜王様の腕が緩み、私はそのままリディアさんのもとに走っていく。彼女の瞳は真っ赤で、泣きはらした痕があった。


「リコ! 生きてたんですね!」
「リディアさん、心配かけてごめんなさい……」

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