竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
20 竜石と消えた令嬢
「えっ? 誰とって、それは見てのとおり、この竜と話しているのですが……」
「竜と!?」
私の言葉に竜王様だけじゃなく、そこにいた全員が驚きの声を出し、ざわつき始めた。しかも騎士たちは「竜と話せるなんてできるのか?」「ちょっと信じられないな」と言い始め、なんだか肩身が狭くなってくる。
「あの、みなさん竜人だから、竜の言葉がわかるんじゃないんですか?」
『わからないよ』
「えっ?」
竜王様たちに質問したはずが、隣にいる竜のほうが答えてしまった。私が振り向くと『かわいい〜』と言って、しっぽをブンブン振っている。
「みんな、あなたたちの言葉がわからないの? 私だけ?」
『うん! 君だけ! だから僕と――』
「リコ! 本当に竜の話していることが、わかるのか?」
竜王様は目の前の竜の言葉を遮るように言うと、私の肩を揺さぶった。