竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(なんせキールくんが助けてくれなかったら、私は死んでたはずだもの)


 そう思うとやる気が出てくる。しかし私がキールくんに話しかけようとすると、竜王様が私の手を引っ張り、自分の方に引き寄せた。


「リコ、その前におまえが空中に投げ出された時に気づいたことがあれば、教えてほしい。観客席からあの場所まで吹き飛ばされ停止しているのは、普通の力じゃない。竜気の使い手だ。それもかなりのな。誰か怪しい人物を見ていないか?」

「怪しい人物……」


 その言葉に私は一気に気持ちが落ち込んでしまった。その様子を見て竜王様が「思い出すのがつらいなら、ゆっくりでいいぞ」と言っているけど、私の頭にははっきりとある女性の姿が思い出されていた。


 空中に投げ出された私を見て、笑っていたあの女性。ずっと私を睨みつけていたライラという女性だ。あの時、彼女は私に向かって手を伸ばし、何かをしていた。でも私には竜気がわからないから、違うのかもしれない。それに証拠もないし……。
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