竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(皆のいる前で、不確かなことを言って、もし私の勘違いだったら大変だわ。あとで竜王様たちだけに伝えよう!)
「あ、あの竜王様、私の話は……」
「竜王様、少しよろしいでしょうか?」
オロオロと戸惑っていたからだろうか。リディアさんは私を安心させるようにうなずくと、かばうように一歩前に出た。
「実はあの時、観客席からは助けられそうにないと判断し、下に降りようとしたんです。その時、私がある令嬢にぶつかって、これが床に落ちました」
そう言って私たちの前に出されたのは、白い石がついたネックレスだった。革紐と石だけで作られたシンプルなものだったが、竜王様も騎士団長さんもすぐにそれが何かわかったようだ。
「落とした令嬢はライラ・ロイブです。リコ様に暴言を吐いたギーク・ロイブの妹で、この石は竜騎士だけが持つ竜石といいます」