竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 リディアさんは私に向かってそう説明すると、また一歩下がった。竜王様たちはこの石の意味するところがわかっているようで、暗い顔をしている。


「リコ、この竜石というのは、竜気をためておいて、攻撃や防御などに使えるものなんだ。今日の朝の報告でわかったことだが、妹のライラ・ロイブも領地では騎士の訓練を受けていた。あの時、彼女はリコにこの石を向けていなかったか?」


 たしかに彼女は私に向かって腕をのばし、その手には何かが光っていた。じゃあ、あの時はこの石の竜気で、吹き飛ばされたということか……。


「……はい。していました」
「やはり、そうか。つらいことを思い出させて悪かった」


 竜王様は私を引き寄せ、慰めるように抱きしめた。いつもならこんな皆のいる前でとか、誰かに誤解されたらどうしようとか思っただろうけど、今の私はこの温もりにすがっていないと倒れそうだ。


「それで、ライラ・ロイブは今どこにいるんだ?」


 竜王様のピリっとした声色に、全員がビクリと反応する。すると、リディアさんが申し訳無さそうに頭を下げ、話し始めた。
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