竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「あの、私そろそろ、着替えをしたいのです!」
「ああ! そうだな! リディア!」


 リディアさんを呼ぶと、竜王様は自分の着ていたマントを私の肩にかけた。そのまま首にある留め具をパチンとつけると、頭を優しく撫で始める。


「今日は大変だったな。ゆっくり休め」
「ありがとうございます」


 私の着ていたドレスは埃まみれで、ボロボロだ。これで王宮を歩くのはちょっと恥ずかしいと思っていたから、竜王様の気遣いに胸の奥が甘くしびれるような気持ちになる。


「竜王様、警備の者から報告が入っておりますから、こちらに」
「ああ、そうか。リディア、リコを頼んだぞ」
「はい」


 竜王様やシリルさんも、これからまた仕事みたいだ。ううん。今回の事件でもっと増えたんだろうな。私もこれ以上二人の仕事を増やさないように、迷惑をかけないようにしなくっちゃ。
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