竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

 なるほど。それでこんなにリディアさんが興奮してるんだ。以前ギークに私が詰め寄られた時、彼女はものすごく怒っていた。もしかしたら私がまわりに認められないことを、苦しく思ってくれていたのかもしれない。


「さあ、リコ。こちらでお召し替えを」
「は、はい!」


 私は促されるまま、赤いドレスを身にまとった。わりと体にそった細身のドレスだったから、ちゃんと着れるか心配だったけど、無事入ってくれホッとする。リディアさんも後ろのボタンをとめ終わり、腰にまわした共布のリボンを器用に結んでいた。


「それに今回訪ねることができない領主からも、早くリコに来てほしいと、順番待ちがすごいんですよ」
「えっ? そんなに?」
『ママ、にんきもの! さくせんせいこうのよかん……!』


(あれ? いつのまにか起きてたんだ。今日もかわいいな〜)


 何も言わずしれっと会話に参加し始めた卵くんの行動に、笑いをこらえながらお腹を何回かさすった。挨拶のつもりだけど、伝わっているといいな。すると鏡越しにそれを見ていたリディアさんが、後ろからひょこっと顔を出した。
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