竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 卵くんは入ってくる前からわかったようで、『パパ〜』と言って嬉しそうにクルルと鳴いている。


「準備はできたか?」
「は……い」
「どうした? 変な顔して」


 竜王様に注意された変な顔は、まぎれもなく私が呆けている顔だ。だって、竜王様の着ている服がおかしい。彼の今日のファッションは、以前にも見たことがある、砂漠の王様ふうだ。それはまあいい。問題は――


(私の衣装とおそろいだってこと!)


 竜王様が着ているのは、私と同じ光沢のある赤い布で作られた、詰め襟のロングジャケットだ。刺繍は肩から裾まで、金糸の刺繍が入っていて、私たちが並ぶと、どう考えても(つい)の衣装に見える。


(本当にここまで一緒で大丈夫?)
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