竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
リディアさんから報告は受けたものの、まだ実際に自分で見たわけじゃない。一歩外を出たら、私を憎々しげに見る女性がいるかもしれない。しかし不安になった私がリディアさんに目で合図すると、自信満々の顔をした彼女は、重々しくうなずいた。
「リコ、大丈夫です!」
「……わかりました」
「よくわからんが、行くぞ。あちらに着くのが遅くなってしまう」
そう言って竜王様は、私に向かって手を差し出した。エスコートだ。きっとこれも私が皆に「竜王様の妃」として認めてもらうのに、必要不可欠だろう。幸い今日はヒールのある靴ではないし、動きやすい服だ。
私はアビゲイル様の所作を思い出し、なるべく優雅に見えるように、竜王様の手を取った。
「うまくなったじゃないか」
「もっと頑張ります」
「……ああ、それは良いことだ。もうリコはこの国の重要人物だからな」
『じゅーよーじんぶつって、なんだろ? 強いのかな』