竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
重要人物という言葉にグッと重圧のようなものを感じたけど、卵くんの言葉で気が抜けていく。しかしシリルさんがドアを開けるカチャリという音がすると、一気に緊張してきた。私と竜王様の姿を見て、王宮で働く方たちはどう思うのだろうか。
私はそれを見極めるためにも、しっかり顔を上げ、ほほ笑みを浮かべた。
「迷い人リコ様! この国に来ていただいて、ありがとうございます!」
「本日から国内を見て回られるとのこと。お体には十分お気をつけくださいませ」
「こちらにお帰りになられるのを、心待ちにしております」
『わあ〜ママ、じゅーよーじんぶつ!』
なんと! リディアさんの言ったとおり、会う人すべてが私を尊敬の眼差しで見てくれている。時には涙を流して見送る人もいて、この国での竜の重要さがよくわかった。
「良かったな。これで王宮内も自由に歩けるだろう」
「逆に歩きにくそうな気もします……」