竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 横目でちらりと様子をうかがっていると、私を一目でも見たいと、物陰から熱い眼差しを送っている人がたくさんいる。これからこの視線に慣れていかないといけないみたいだ。


「はは! たしかにな。みんなリコに会いたがってる。もう少し落ち着いたら、夜会でも開かないと収集がつかないだろう」
「夜会!」
「ああ、でもまだ先だから安心しろ。こちらにも準備があるからな」


 妙に意味深な顔で笑う竜王様に、嫌な予感しかない。きっとド派手にして、私が戸惑っている姿を楽しむつもりだろう。私がジロリと睨むと、図星だったのか、苦笑いしている。


「さあ、着いたぞ。今日はこの竜車に乗っていく」


 着いた場所は、昨日、忠誠の誓いを行った広場だった。しかしなにより驚いたのは、そこに団長始め私に忠誠を誓った騎士たちや、王宮で働く人たちがズラリと並んでいたことだ。一番すみには私が昨日専属にした、ヒューゴくんがちんまりと座っている。
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