竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「本来は王族専用の場所があるのだが、今日はリコの出発を見守りたいと、騎士団や王宮の職員がうるさくてな」
「大丈夫です! 私もみんなに挨拶したかったので」


 ここまでくると、かえって覚悟が決まってくる。私はニッコリとほほ笑み、竜王様と一緒に前に出た。


「リコ様! 今日は私も護衛としてお供させてもらいます! よろしくお願いいたします」


 団長さんがそう言うと、「私も行きます」「俺もです」と次々、挨拶をされた。私たちが乗る竜車をぐるりと囲むかたちで、護衛してくれるらしい。


「ヒューゴも連れていきますよ。もうリコ様専属ですから、他の騎士を乗せることはありませんが、護衛しながら飛ぶ方法を教えなくちゃいけませんから」


 団長さんが手招きすると、すみでじっと見ていたヒューゴくんが、私のもとに飛んできた。しっぽを振りながら嬉しそうにやってくる姿は、とてもかわいらしい。
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