竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「じゃあ、みなさん行ってきます!」
『いってきま〜す』
「竜王様、リコ様。無事のお戻りを、お祈りしています」
シリルさんの挨拶で扉が閉められると、ふわりと竜車が浮かび上がった。そのまま車体はゆっくりと上にあがっていく。
(わあ! 飛行機とも違うし、不思議な感じ! ワクワクする〜!)
「出発いたします!」
『しま〜す!』
団長(プラス卵くん)の大きな掛け声が空に響くと同時に、ドカンと大きな音が鳴った。驚いて窓から確認すると、どうやらキールくんが私たちについてこようと、竜舎を破壊したらしい。
『うわ〜ん! ぼくも連れてって〜』
『あいつ、本当になにやってんだ……』
外からヒューゴくんの呆れた声が聞こえてきた。キールくんも頑丈な鎖で繋がれているから、飛ぶことができないようで、キーキー文句を言っている。
(ごめんね。キールくんは、また今度)
私が心の中でつぶやくと、団長がもう一度、出発の掛け声を叫んだ。そしてそのまま、私たちを乗せた竜車は無情にも飛び立ったのだった。