竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
(深夜に突然、誰もいない森に向かって、吠える竜か……)
たしかに竜舎や館の裏側は大きな森だ。かなり広い森のようで、不審者が入ってこないように、管理小屋まで作って警備しているらしい。
(でも良かった。今回はカルルくんみたいに絶食して、命の危険があるわけじゃないから、ちょっと気がラクだ)
「じゃあ早速、竜から話を聞いてみますね」
「お願いします」
森に向かって吠える竜の名前は、ランドくんという。性格はやや無鉄砲なところがあるらしい。
「初めまして、ランドくん。私、リコといいます。ランドくんは時々、森に向かって吠えると聞いたんだけど、理由を聞かせてもらえる?」
その言葉を聞いたランドくんは、ぐりんと勢いよく私の方に顔を向け、鼻息をプシューと吹きかけてきた。