竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
「ああ、そもそも、リコもその竜とは、話せないかもしれない」
「えっ! そんな変わった竜がいるんですか?」
「まあな……お、二人が手を振っているぞ」
私たちを乗せた竜車がふわりと浮き、次の目的地へと飛び始める。地上からは領主夫婦がニコニコと手を振っていた。隣りにいるランドくんも『お嬢ちゃん、また来いよ〜』と、楽しそうにクルクル飛び回っている。
「これからあの領主は、リコの能力の凄さを、竜を使って広めると言ってたな」
「はい。竜の飛行練習で全国各地に行くから、そこで今日のことを伝えてくれると。あとランドくんも、竜仲間に伝えてくれるそうです」
「ははは! 竜仲間にもか。それはいいな」
「竜はけっこうおしゃべり好きだって、言ってました」
(そういえば、おしゃべり好きで思い出したけど、卵くんは寝ちゃったのかな?)
たしかランドくんが楽器の真似をしたあたりまでは、起きていた。たぶんあれで疲れちゃったんだろうな。私は気づくと、寝てる子の頭をなでる気持ちで、お腹をさすっていた。