竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
27 水晶の守り人
目の前にいるルシアンと呼ばれた男性は、シリルさんとほとんど同じ顔をしていた。でもシリルさんとは別人。それはすぐにわかる。だってこの男性は、シリルさんよりかなり年上だ。ということは、つまり……。
「シリルさんの、お父様ですか?」
「はい、シリルは私の息子です」
きっと二人に並んでもらったら、違いは一目瞭然なのだろう。それでもルシアンさんは、シリルさんが年齢を重ねた姿なので、ギョッとしてしまう。竜王様はそんな私の驚いた顔を見て、サプライズ成功といわんばかりに、満足気に笑っていた。
「驚いたか? 顔がそっくりだろう」
「はい、ビックリしました」
(ということは、シリルさんのお父さんが、元水晶の番人だったのか……。お元気そうなのに、どうして辞めたんだろう?)
「この方が迷い人様なんですね。シリルから報告はありましたが、こんなにお若い方とは思いませんでした。今日はもうお疲れでしょう? 私の依頼は明日にしましょうか?」